1. 全く新しい形式のスターリングエンジン
  KAIHOエンジンは、スターリングサイクルを実現する全く新しい作動メカニズムを開発しました。「何が新しいのか」といえば、それは図1に示すように、KAIHOエンジンは加熱器と冷却器が出力ピストンシリンダ部及び圧力発生器から分離され、弁を介して連結されているところにあります。
  図2の従来型スターリングエンジン(MOMOSEエンジン)と図1のKAIHOエンジンを比べると、MOMOSEエンジンでは高温空間(加熱器)、圧縮空間(冷却器)はじめ、その他のエンジン要素もすべて一つの容器の中に組み込まれているのに対して、KAIHOエンジンでは、エンジン要素はすべて弁で仕切られています。
  その結果、KAIHOエンジンは加熱器と冷却器の圧力差のみで駆動されるエンジンになりました。
  このエンジン作動メカニズムは、従来のエンジンには見られないKAIHOエンジン独特のものです。それゆえに、多種多様な加熱源に対応するエンジンを作ることができるのです。
 
 
   2. KAIHOエンジンの特徴
 
 
    加熱器と冷却器を分離したため、次のような特徴が生まれました。
(1)廃熱エンジンを作る場合、従来のスターリングエンジンは、加熱器のサイズに制限を受けるため、出力を大きくできません。
しかし、KAIHOエンジンは、加熱器のサイズは必要に応じて大きくできるので、理論上廃熱が有する熱量をすべて回収可能です。そのため100kWの廃熱エンジンでも可能となります。
(2)さらに各種バイオマスを燃料として利用する場合に問題となる、燃焼ガス中の金属腐食性物質への対策が立てやすくなります。
すなわち、伝熱係数を低下させる加熱管表面保護を施しても、加熱管表面を大きくとることにより必要な伝熱量を確保できるからです。
その結果、どのようなバイオマスでも利用可能なエンジンが作れます。
(3) 作動ガスはヘリウムではなく、N2を使います。
(4) また加熱器と冷却器の圧力差で作動するエンジンであるので、500℃以下の温度領域で実用上十分な性能を有するエンジンとなります。そのため、高価な耐熱合金などを必要とせず、製造コストを抑え、大出力で、安価なエンジンが可能となります。
 
 
   3. エンジンサイクルは?
 
 
    エンジンサイクルについては、加熱器・冷却器を分離し、その圧力差で駆動するエンジンであるので、指圧線図は図3のようになります。ここで注意して頂きたい点は、ピストンの膨張行程が等圧変化と見なせることです。
図3 ピストンシリンダ部のP-V線図
  “何故等圧変化なのか”と言えば、試作1号機のピストン行程体積は170mLであるのに対して、加熱器の大きさは48.7L(280倍)もあるからです。エンジンの膨張行程はピストンシリンダと加熱器が導通した状態で行われるので、見方を変えれば、加熱器がピストンのストローク分だけ膨張したことになります。その上、膨張体積は加熱器の僅か1/280であるので、指圧線図では一定圧力変化としか出てこないわけです。
  したがって、この指圧線図はKAIHOエンジンの作動メカニズムが加熱器と冷却器の圧力差で動くことを示しています。非常にシンプルです。
  さらにKAIHOエンジンは、スターリングサイクルの等容冷却・等容加熱の行程と等温膨張・等温冷却行程が、独立した別々の仕組みで行われていることです。
すなわち、等容冷却・等容加熱の行程は、図1において“加熱器―圧力発生器―冷却器”を結んだシステムで行われ、等温膨張・等温冷却は、加熱器―ピストンー冷却器のラインで行われるのです。
  特に重要な点は、圧力差を発生機構と出力発生機構は直結する必要がなく、別々に作動させることができるのです。圧力発生機構は、等容変化であるので、原理的に仕事はゼロです。したがって、弁駆動と多少の流動損失を賄う動力で駆動できるので、発生する動力に対して十分小さく抑えることができます。
  それゆえ、全く新しいスターリングエンジンと見なすことができると考えています。
(補足説明)
加熱器の体積は、実際のエンジンでは加熱器を出力シリンダの300倍ものサイズにする必要はありません。加熱器のサイズは、熱源の種類、温度などのより変わりますが、通常は出力ピストンの容積の10倍もあれば十分です。その場合の指圧線図は等温変化の特徴が現れると予想しています。
 
 
   4. 加熱器と冷却器の圧力差
 
 
     図4は加熱器と冷却器の理論圧力です。この圧力計算は、試作1号機のKAIHOエンジンを対象に計算されたものです。
図4 加熱器と冷却器の理論圧力
  試作1号機は、200℃(473K)付近で試験運転をしています。現在の加熱器と冷却器の圧力差は0.12MPaです。理論圧力差が0.24MPaになるので、理論値の約50%を達成していることになります。これは試作エンジンの圧力発生装置の効率が50%程度であることを示しています。
  図4は、圧力差は加熱器の温度に上昇により大きくなります。これは出力が加熱器温度に比例して増大することを示しています。
 
 
   5. 試作1号機の概要
 
 
項     目 容積サイズ/特性
出力ピストン(ボア×ストローク) 60×60
圧力発生装置(単なる空洞装置) 容積:1.4L
加熱器 ヒータ管(8mmφ×500mm×253本)+
ガス溜め容器(容積42.4L)=48.7L
冷却器 同上
熱源装置 熱媒:NeoSK-OIL L400(-10〜280℃)
 
 
   6. KAIHOエンジンが目指す用途
 
 
KAIHOエンジンが目指すビジネスは、横浜製機株式会社の作成したパンフレットの一部を引用します。(KAIHOエンジンのカタログから引用: KAIHOエンジンが拓く未利用エネルギー活用の世界
 
 
スターリングエンジンに興味のある企業の皆様、
お気軽にメールにてお問合せください。
(eco-stirling@kne.biglobe.ne.jp)
 
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