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5. | 計測・制御システム | |
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SE-PV電源車の計測・制御システムは、スターリングエンジン制御部を中心として、
その周辺にスターリングエンジン本体、ソーラー発電部、大容量Li-ionバッテリー、タッチパネル、
外部ネットワークとのインタフェース等を配置した形で構成されています。
その構成を図-6に示します。 | |
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図-6 計測・制御システム機能ブロック図 |
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5-1 |
FPSEG |
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フリーピストン型スターリングエンジン。 出力は1kW, 50Hzです。 |
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5-2 |
ソーラー発電部 |
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ソーラーパネル6枚(最大)とソーラー充電器から構成されています。出力電圧:DC48V,
最大出力500W(実測値)がその仕様・性能です。ソーラー充電部に蓄えられた電気は、マスターPLCからの指示に従って
大容量Li-ionバッテリーに送られ、蓄えられます。 |
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スターリングエンジン(SE)発電とソーラー(PV)発電両者の発電能力の比較を図-7に示します。
(注)BT:Li-ionバッテリー
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図-7 木質バイオマス燃料スターリングエンジン(SE)とソーラー(PV)の発電実験 |
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5-3 |
FPSEGコントローラ |
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スターリングエンジン(FPSEG)を制御するコントローラです。
スターリングエンジンの出力電圧AC230Vは、一旦AC/DCコンバータによってDC400Vに変換された後、DC/DCコンバータを
介してDC48Vに再変換され、大容量Li-ionバッテリーに充電されます。バッテリーが過充電になる恐れがある時は、
スターリングエンジンの出力は、FPSEGコントローラに接続された放電抵抗によって消費されます。
なお、放電抵抗として温水ヒーターを用いれば、発電電力を有効に利用できます。 |
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5-4 |
マスターPLC |
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マスターPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)は
シーケンス制御用プログラムコントローラとリレー回路などの組み合わせで構成され、SE-PV電源車の運用のための中枢部分を担っています。
本システムの動作・運転に必要な各種情報(周囲温度、加熱部温度、燃料消費量、流水量、発電量、消費電力、Li-ionバッテリーの温度、補機運転状況等々)
の信号をセンサー回路から入力し、SE-PV電源車の運用に必要な制御信号を発生して、リレー回路等を通して各ユニットを制御する装置です。
主な制御対象は、FPSEGコントローラ、ソーラー充電部、補機、保護回路(過熱保護・無負荷保護・過電流防止・過負荷運転防止等)
及び通信回路(外部ネットワークとの接続)が相当します。
このようにPLCは安全・安定運用の要となるため、万一に備えてスレーブPLCが用意されています。  
マスターPLC、スレーブPLC共に運転状況等を記録するためのSDメモリを有しています。
また、操作員からの指示を受けるためや操作員へ運転状況を知らせる、
マンマシン・インタフェースとして タッチパネル が採用されています。 |
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5-5 |
スレーブPLC |
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スレーブPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)は
シーケンス制御用リレー回路を持たない以外はマスターPLCと同等の機能を有しており、
通信回線(LAN)を通じてマスターPLCに接続されてSE-PV電源車の遠隔による監視や操作を可能にします。
また、スレーブPLCは、マスターPLCの状態を監視し、異状があればSE-PV電源車の運転を停止させる役目もあります。
運転・稼働記録が記録されるSDメモリは、その取り外しがマスターPLCに比べて容易なので
(マスターPLCは制御盤内にあるのでSDメモリの取り外しが困難)、運転状況の確認も直ちに可能となっています。
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図-8 マスターPLC |
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図-9 スレーブPLC |
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5-6 |
補機用コントローラ |
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今回開発されたSE-PV電源車の第一の目的は、災害発生時に直ちに被災地に向かい、
ライフラインの基本となる、(1)電気を供給する、(2)生活用水の一部を加熱して温水を供給する、と言ったサービスを提供することにあります。
SEの運転に必要な補機、@ポンプ、Aブロワ、B燃料フィーダは、マスターPLCからの指令信号に従って
補機用コントローラによって制御されます。
スターリングエンジン(FPSEG)の加熱部への熱供給のため、燃料フィーダの燃料投入量とブロワの送風制御による
燃焼炉の温度制御も、この補機用コントローラの重要な役割の一つです。安定なSE発電を維持するために、
燃焼炉の温度はセンサ回路を通してマスターPLCにフィードバック制御されます。 |
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5-7 |
AC/DCコンバータ・DC/DCコンバータ |
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スターリングエンジン(FPSEG)の発電電力は AC230V/50Hz であるため
これを一旦整流し、DC400V の電力に変換され、更にLi-ionバッテリーの定格電圧 DC48V に変換して充電しています。
これらの電気エネルギーの変換動作を行っているのが AC/DCコンバータと DC/DCコンバータです。
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5-8 |
インバータ |
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SE-PV電源車での発電は全てDCに変換されてLi-ionバッテリー
に蓄電されているため、この電力を外部の機器に供給する場合にはAC電力に変換する必要があります。
これを担うのがインバータ(DC/ACコンバータ)です。
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5-9 |
ソーラー充電部 |
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最大出力100Wのソーラーパネルを最大6枚をSE-PV電源車のルーフに設置出来ます。
ソーラーパネルの出力は安定ではないのでソーラー充電部で48Vに変換し
MPPT制御 (Maximum Power Point Tracking:下記注参照) によってLi-ionバッテリーに蓄電します。
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| 注: |
最大電力点追従制御方式。太陽電池が発電する時に出力を最大化できる最適な
電流×電圧の値(最大電力点)を自動で求める制御のこと。
太陽電池は天候の変化等環境の違いによって最適動作点が変動するので、
これを自動的に最大出力が得られるようにする制御のことをMPPT制御という。
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5-10 |
大容量Li-ionバッテリー |
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スターリングエンジン並びにソーラーパネルによる発電量が
使用電力を上回っている時は剰余電力を蓄え、夜間等スターリングエンジン発電量のみでは供給が追いつかない時は当バッテリーから
電力を補給することになります。
当バッテリーの定格は、48V、100Ahなので、iPhone8 (3.82V, 1.821Ah) の約690台分の充電能力を有していることになります。 |
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図-10 パッケージ化されたLiイオンバッテリーモジュール |
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5-11 |
センサ回路 |
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センサ回路は構成ユニット各部の温度や電流値などの物理量を測定し
その結果をマスターPLCに送っています。
マスターPLCはその測定量に基づいた判断を行い必要な制御信号を各ユニットに送っています。
その目的は二つあり、一つは測定値が予め定められている設定値に近づくように、もう一つは測定結果によって
安全・安定なSE-PV電源車の運用が出来るようにするためです。 |
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5-12 |
タッチパネル |
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マスターPLCに対する指示、あるいは
マスターPLCや構成ユニットの稼働・制御情報を知るためにタッチパネルが使われています。
タッチパネルは、各種運転状況に応じた画面に切り替えて表示・操作することが可能です(図-11〜図-13参照)。
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