| | |
2. |
低温度フリーピストンスターリングエンジン(以後FPSEと云う)の狙い | |
|
該エンジンは、
温度400℃程度の廃熱
を回収・利活用することを狙っている。
それは熱源を蒸気圧15.5気圧、温度200℃温度の水蒸気としていることに示されている。
一般に400℃程度の廃熱は利活用するには難しい温度レベルにあり、多くは200℃以下に冷却され捨てられており、
前澤氏はこの廃熱の有効活用を目指している。 | |
|
3. |
水蒸気を熱源とする利点とその特徴 | |
|
蒸気圧15.5気圧、200℃の蒸気は100%蒸気の状態(飽和蒸気)から凝縮して100%の水(飽和水)
に至る範囲の蒸気を指す。
この蒸気圧における蒸発潜熱は約1940kJ/kg(飽和水を飽和蒸気に加熱するに必要な熱)であるが、
該エンジンはこの蒸発潜熱を熱源として利用する。この範囲の蒸気は飽和蒸気が完全に凝縮するまで、温度が一定である。
該エンジンはこの温度一定の熱源を利用する(加熱源の温度は温度一定が有利)。その上、蒸気の伝熱特性は燃焼ガスより高い。
該エンジンは、この特性を利用し低温エンジンの性能向上を目指している。 | |
|
4. |
出力目標は2kW・・・・開発中のエンジンは500W | |
|
5. |
エンジン形式は、フリーピストン型 | |
|
6. |
エンジン構造と特徴 | |
|
図1は前澤FPSE とQnergyPCK80の構造を示すものであり、
さらに表1にて両者の相違を比較したものを示す。
まず第1の相違点は前澤FPSEの発電機が、図1に見るようにパワーピストン(以後PPと云う)の内部に
設置されていることである。これによりエンジン全長が短縮され、構造がシンプルになる。
もちろんPCK80は出力が大きく、それに見合う発電機であるので、同じ線上での比較は適当ではないとは思うが、
この発想は従来には見られない新規性であると云える。 | |
|
|
第2点は、デイスプレーサ―(以後DPと云う)とPPを支持するスプリングの位置である。前澤FPSEではDPを支持するスプリングは、
エンジン最下部に位置しPPの中心を貫通しDPを支え、PPを支持するスプリングはPPの下端を支持する形で設置されている。
それに対してPCK80はDP、PPともにフレクチャーベアリング(図1)と呼ばれるバネで支持され、
発電機のコアの磁石をPP支持のフレクチャーベアリングで駆動する。
| |
|