新着情報1件
 

■活動報告履歴
2023年2月 報告27
◆第5回「SE勉強会」

2019年7月 報告26
◆第1回「SE勉強会」

2019年2月 報告25
◆第8回ビジネス懇話会

2018年10月 報告24
◆平成30年度第12回
 スターリングエンジン講演会

2017年2月 報告23
◆平成29年度ビジネス懇話会

2016年10月 報告22
◆平成28年度第10回
 スターリングエンジン講演会

2015年2月 報告21
◆第5回ビジネス懇話会

2015年10月 報告20
◆平成27年度第9回
 スターリングエンジン講演会

2014年12月 報告19
◆平成26年度第8回
 スターリングエンジン講演会

2014年12月 報告18
◆第1回一色尚次賞発表
 スターリングエンジンの発展に向けて

2014年5月 報告17
◆2014環境展・
地球温暖化防止展出展

 
   日本スターリングエンジン普及協会活動報告No.24
 
◆第12回スターリングエンジン講演会
…“バイオマス市場とスターリングエンジンビジネス”…
2018年10月26日
   第12回スタリーングエンジン講演会が平成30年10月26日(金)都道府県会館で開催されました。 冒頭では講演会に先立ち、第5回一色尚次賞奨励賞の授与が行われました。 一色尚次賞奨励賞は株式会社エコステージが行ってきた「スターリングエンジン販路開拓への尽力」 に対して授与され、続いて同社代表取締役 高橋善計氏による「スターリングエンジン市場開拓への戦略」 と題する記念講演が行われました。

   定例講演会は、畜糞ならびに木質バイオマスの有効利用としてのスターリングエンジン燃料 への可能性を、畜糞環境整備機構羽賀清典様ならびに株式会社トモエテクノ岡本利彦様からそれぞれお話頂き、 株式会社JSE秋葉武志様は具体的な鶏糞直接燃焼式CHP開発の現状をご紹介頂きました。
   総合討論では鶴野理事長司会のもと、本日ご講演頂いた4名の講師の先生方を囲んで “畜糞と木質バイオマス” をベースにしたスターリングエンジンビジネスの進捗と目指すべき方向性について、熱心な討議がなされました。

   以下各講師の講演要旨と総合討論の論点について述べます。
<各講演の概要>
(1) 一色尚次賞受賞講演:(株)エコステージ 高橋 善計氏
   「PCK80 7kWフリーピストン式スターリングエンジン販路開拓の取組」と題して、、 Qnergy社とPCK80の解説と今後のビジネス展開構想について話されました。
(2) 羽賀 清典氏 (?畜産環境整備機構 参与)
   「畜糞(鶏ふん・豚ふん・牛ふん)の生産量とその活用の現状について」と題して、 鶏・豚・牛の飼育方法、糞尿の分離、糞の発生量とその処理、鶏・豚・牛ふんの燃料 価値比較、堆肥製造、畜糞の処理の状況について詳細な解説をされた。
   その中で羽賀氏が強調されたことは、鶏ふんの発生量は極めて多く、最も有効な 処分方法は “燃料としての活用” であった。
(3) 岡本 利彦氏 ((株)トモエテクノ代表取締役)
   「我が国木質バイオマス市場とビジネスの進展」と題して、木質バイオマス活用に対する国の取組み、 バイオマスのエネルギー資源とその特性、ボイラー燃焼技術と経済性、バイオマスボイラー導入事例など、 木質バイオマスに関する現状と課題、そして今後の方向性について詳しく、かつ体系的に論じられた。
(4) 秋葉 武志氏 ((株)JSE 代表取締役)
   「株式会社JSEの鶏糞直接燃焼SEμーCHP開発の取組み」と題して、鶏糞を燃料として発電と給湯を 同時供給できるCHPを養鶏場に導入するビジネスモデルの優位性について述べ、それを実現するための 「SEμーCHPの開発」への同社の取組みについて述べた。 ここで卑近の例としてADMIEXCOエンジン設計(株)が直近に製作納入したCHPシステムについての紹介が なされたが、同社社長がが飛び入りの形で説明役を買って出られ、納入システムの写真を示しながら 同CHPシステムの詳細な説明がなされた。
(5) 総合討論 (司会:鶴野 省三 NPO日本スターリングエンジン普及協会理事長)
総合討論では、興味ある質疑が行われたので、以下に纏めました。
Q: 堆肥センターと鶏糞堆肥の活用現状について教えて頂きたい?(質問者: H氏)
A: 堆肥センターは全国で347ヶ所(農水省調査)、これはすべて稼働している。 鶏糞の堆肥は非常に多いので、堆肥化してもその処分には困っている。 燃料として活用してほしいというのが羽賀氏及び関係者の考えである。 なお、堆肥化したものを廃棄物化することはない。何とか活用している。(回答: 羽賀氏)
Q: 鶏糞堆肥によるメタン発酵ガス化発電の補助適用について(質問: H氏)
A: メタンガス化プラントはかって補助制度で北海道を中心にかなり建設され稼働しているが、 FITが始まり、プラント建設の補助制度はなくなった。 業者は売電によって利益を得よう(買取価格の中に建設費を含んでいるとの意味) という考えで運用されている。(回答: 羽賀氏)
Q: ボイラーで廃棄木材を燃料とする場合、その木材は廃掃法の規定に触れないか? (質問: H氏)
A: ボイラーは燃料を燃やして熱利用する装置であり、焼却炉ではない (焼却を目的とする場合は廃掃法による廃棄物となるとの意味)。 さらにボイラー燃料は、ボイラーに適した燃料であること、有価物として買い取っているものを指す。 またボイラーは熱回収が目的であるので、高い効率(熱効率80%以上) で熱回収できるものでないものはボイラーとして認められない。 熱効率が40%程度ではボイラーとして認められない。このような区分が存在する。 廃棄物と燃料の区分は、ボイラー燃料のサイロに投入された段階で、燃料と認められることが一般的。 自治体により解釈が異なるところもあるので、実際は個別に確認が必要。(回答: 岡本氏)
Q: スターリングエンジン発電システムのkW当たりの価格は?(質問:S氏)
A: スターリング発電システム(CHPなど)はシステムを構成する周辺機器(バーナーや燃種対応など) により大きな差がある。特に燃種によって大きな差が出る。 良質な燃料ならばkW当たり100万円程度で出来ると思う。(回答: 高橋氏)
Q: Qnergyは7kWであるが、これ以外で大出力エンジンはあるか?(質問: S氏)
A: Qnergyは7kWが最大。それ以上の場合は必要に応じて複数台を並列に並べる方法をとる。 (回答: 高橋氏)
Q: 植物プラントは収支が成り立ちにくい。そこに熱施設を導入した場合、熱施設は高価であるので、 事業を成り立たせるために他の施設と組み合わせる等の工夫はなされているか?(質問: K氏)
A: 園芸ハウスは、昼は太陽熱、夜は暖房が必要になる。 当社の例ではデイサービス施設と園芸ハウスを組合せ、昼はデイサービスの給湯、 夜は園芸ハウスに使う方法をとり、ボイラーの稼働率を上げているものがある。(回答: 岡本氏)
Q: 畜糞燃焼の場合はSEのヒーター部にコンタミがつき困っている。 これに対する良い対策はないか。先行事例によれば流動床がコンタミ対策として理想的のようであるが、 良いアドバイスを頂きたい。(質問: M氏)
A: その件に関しては知見を持たないが、“かげやま氏”の講演を聞いたところでは 畜糞燃焼はスト―カ方式ではなく流動床が良いとのことである。 畜糞は塩分、塩素、金属に加え有機物プラス肥料成分があり、難しい。(回答: 羽賀氏)
Q: M氏がCHPで使われているサイクロンは、何ミクロンまで除去できるのか。(質問: 司会者)
A: PM10(μ)を目指しているが、実際のところは分からない。 20μは除去している。しかし、これでは不十分である。そこで砂にこだわるのは、 砂を使うと簡単にコンタミが取れるからだ。(回答: M氏)
Q: 水素を使ってスターリングエンジンを回しているが、水素でFITが使えるか?(質問: T氏)
A: 水素ではFITを利用できない。しかし、 水素をメタン発酵したメタンから取り出すならばFITが適用されると思う。(回答: 司会者)
Q: Qnergyと普通のガスエンジンのランニングコストの比較についてお聞きしたい。(質問: S氏)
A: ガスエンジンはメーカにより異なるが、約500時間毎にフィルターやオイル交換 (弁や点火栓も交換するものがある)などメンテが必要である。 そのコストはエンジンメーカに聞いて頂きたい。Qnergyはメンテナンスフリーであるので、 ランニングコストはガスエンジンに比して優位である。(回答: 高橋氏)
Q: 木質以外の草本系(エリアンサスなどエネルギー作物)のボイラーへの利用についてどうお考えか?(質問: K氏)
A: 草本系は木質に比べ密度が小さく嵩張り発熱量が低い。 また灰も多いので、燃焼熱の発生が少ない上に、灰が燃料と酸素の接触を阻害し、 利用しにくい面がある。また塩素があると腐食やダイオキシンの問題が出てくる。 将来的に草本系にも取り組まねばならないと考えているが、その場合は幹と枝までは自信があるが、 葉とか草までは利用できるかどうか課題がある。(回答:岡本氏)
Q: 環境省の資料では、廃棄物全体の22%が畜糞とあるが、この22%の廃棄物とされる畜糞が すべて堆肥化されると理解して良いのか。 またバイオガス発電所は北海道しか収支が合わないと云われているが・・・・。(質問: K氏)
A: 畜糞は産業廃棄物の位置づけであるが、実際は有効利用(利用率80〜90%) するので廃棄物にはならない。
 メタン発酵ガス化発電は、収支の問題よりは、メタン発酵で排出される消化液の量が 原料の糞尿とほぼ同量あり、この処理に多大の経費がかかることが問題。 北海道の牧畜農場では、液肥として圃場に散布できるが、内地ではそれができない。 したがって、メタン発酵ガス化利用が殆どできない。  鶏糞は、アンモニアを含みメタン発酵に適さない。堆肥か燃焼しか利用できない。 鶏糞中のアンモニアは燃焼には問題がない。(回答: 羽賀氏)
以 上      
なお、本講演会の「予稿集」を一部1,000円で領布しております。
ご希望される方は、下記にメールでご注文ください。
       e-mail: eco-stirling@kne.biglobe.ne.jp

第12回スターリングエンジン講演会場風景
高橋善計氏
((株)エコステージ代表取締役)
羽賀清典氏
(?畜産環境整備機構 参与)
岡本利彦氏
((株)トモエテクノ代表取締役)
秋葉武志
((株)JSE(代表取締役)
総合討論の模様(1) 総合討論の模様(2)
▲TOPへ    
 
 
Copyright (C) 日本スターリングエンジン普及協会