◆平成28年度第10回スターリングエンジン講演会開催
…“スターリングエンジン&バイオマス”ビジネス開拓 のために… |
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2016年10月27日 | |
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第10回記念スタリーングエンジン講演会が平成28年10月27日(金)都道府県会館で開催されました。
今回は定例講演会に先立ち、第3回一色尚次賞奨励賞の授与が行われました。
一色尚次賞奨励賞は芝浦大学工学部電気工学科教授 高見 弘氏の「芝浦大学プロジェクト:
スターリングエンジンとソーラー発電ハイブリッド電源車」に授与され、その記念講演が行われました。
定例講演会は、木質バイオマスとスターリングエンジンビジネスに焦点を当て、
木質バイオマスの第1人者、熊崎 実氏((社)日本木質バイオマスエネルギー協会会長・筑波大学名誉教授)、
泊みゆき氏(NPOバイオマス産業ネットワーク理事長)をお招きして、
欧州の取り組みと我が国の現状を比較して、
我が国のバイオマス利用と利用技術の現状とあるべき方向性についてご講演を頂きました。
本協会理事長がスターリングエンジンビジネスについて本協会の考え方を述べ、
総合討論では我が国のスターリングエンジンビジネスの進むべき方向性を討議致しました。
以下各講師の講演要旨と総合討論の論点について述べます。 | |
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<各講演の概要> |
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一色尚次賞奨励賞受賞記念講演:高見 弘氏 | |
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高見教授が取り組んでいる「スターリングエンジンとソーラー発電ハイブリッド電源車」は、
途上国や過疎地など無電力地域で電力供給と給湯活動ができる移動電源・給湯車の開発を目指しており、
その電源車の構成や実際に何ができるかを具体的内容と本電源車を自動化するための技術的内容、
またフリーピストンエンジンの発電機特性とその制御について説明された。 |
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| (2) |
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泊みゆき氏 ・・・題目:「我が国のバイオマス利用の動向・・・小規模CHP利用の可能性も視野に・・・」
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同氏は我が国のバイオマス利用のいびつさを「FITのあまりにも過大な発電認定状況」と発電申請事業者の取り組み方、
またFIT買取り価格決定の不透明さなどから論じ、その上で我が国林業の課題
・・・豊富な森林資源を活用できない林業の現状とその原因など・・・を述べ、
如何にして木質バイオマス利用システムを切り拓き拡大(林業の健全な発展)していくか、
現在各地で始まった森林資源の活用活動を紹介し、間伐材などの活用への方策提言、
またバイオマスの最も有効な利用の在り方(特に熱利用の有効性・重要性を強調と欧州の小型熱電併給システムの発展)
について啓発的提言をされた。 |
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熊崎 実氏・・・題目:「木質バイオマスによる分散型熱電併給システムの動向」 | |
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木質バイオマス利用に関しては、1996年「IPCC第2作業部報告」がバイオマス発電を積極的に推進して
世界の電力の1/4を賄うべきとの提言に沿って進められた大出力バイオマス発電戦略
(バイオマスから発電のみを行う)が破綻し、その後ドイツ政府が推進したFIT戦略の中で近年台頭してきた
小規模ガス化発電(熱電併給:CHP)が商業ベースで成立する技術として欧州では普及し始めている。
その顕著な例としてオーストリーの林業とバイオマスを活用した地域熱供給(CHP)ビジネスの紹介があった。
そして今後の展開としてはマイクロCHP(発電1kW、熱6〜8kW )が期待とバイオマスの有効活用が
地域活性化に役立つとの意見を述べられた。 |
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鶴野 省三氏・・・題目:「スターリングエンジンの市場」 | |
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1950年後半からPhilipsが音頭をとる形で超一流企業による国際的なSE開発が始まったが、
それが不成功に終わり、それを引き継いだ中小規模の企業により1〜数kW規模のSE(特にフリーピストン )
が商用化されるまでの歴史を説明し、同氏が作成したSEとガスエンジンなど競合技術が作動するエンジンマップ
(縦軸加熱温度、横軸エンジン発電規模)においてSEのバイオマス・廃熱利用の有利さを説明された。
特に養鶏と製材所の具体例でSECHP導入の経営メリットを具体的に示し、
QnergyエンジンによるバイオマスCHPを開発してビジネスに活用することの利得を力説された。 |
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| (5) |
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総合討論 | |
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〇何故ドイツ・オーストリーでバイオ技術が花開いたか! |
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(ア) |
熊崎氏:
バイオマスもスターリングエンジンと同様中小企業が中心となって今日の技術を切り拓いた。
オーストリーのボイラメーカーはユーザーが近くにいて、トラブルや顧客の要求への真摯な対応や
メンテナンスに努力する中で技術を磨き他の追従を許さぬ独自技術を作り上げた。
今では小さなボイラメーカーが1万台/年の生産量を誇り、輸出をしている。
バイオマスにしてもSEにしても大企業の仕事ではない。
ユーザーに寄り添いながら技術を磨く中で成長発展する業種であると思う。
Burkhardtのガス化エンジンも会社としては一旦あきらめたものを技術担当者が情熱を有した人で
自宅のガレージで研究を続け、発想の転換から今日の技術にたどり着いた。
これも大企業でなかったからできたものである。
スターリングエンジンとガスエンジンは30〜50kWでは両者オーバーラップするが、
10kW以下はSEの独壇場で、本日鶴野氏の話を聞くまではこのSE分野については知らなかった。
今後はこのような面で相互に交流する場が出てくるかもしれない。
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〇スターリングエンジンのロマンにとらわれず市場の中で技術を磨け! |
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(イ) |
泊氏:
スターリングエンジンの門外漢であるが、
スターリングエンジンの強みとニーズを把握してどこで活用できるかを考えて行くべきと思う。
ガス化も日本でもNEDOを中心に相当力を入れて開発したが失敗していたものが、
Brukhardtのように発想の転換から突破口を開いたように、あまり自分のロマンや主義にとらわれないで、
化石燃料のように使いやすい燃料を使って、まず技術を確立して、
その中でブレークスルー技術に出会う機会を待つという生き方もあるのではないか。
また市場の中で技術を磨くという生き方も必要ではないか。
例えば既存のボイラーなどにSEを取り付けることができないか。
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〇開発の現場の実情と開発者の考え |
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(ウ) |
ADMIEXCO エンジン設計(株)宮内氏:
実は11月鶏糞の堆肥を燃焼してSEを動かすことになっていて、今やエンジン開発よりも家畜の糞尿燃焼屋の仕事が増え、
エンジン屋が糞尿など燃焼困難なバイオマス燃焼をエンジンと共に取り組まねばならない状況である。
また泊先生の既存の燃焼器にSEを取付ける件については、大いに感じるところがありますが、
それは数百ワット規模の分野であり、本来熱電素子屋が担当すべきと思うが、取り組んでくれない。
それ故、このような分野もSE屋がやらねばならないのかと思うが泊先生は如何お考えでしょうか。
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(エ) |
泊氏:
数百kW規模のボイラーは結構あり、それで発電できるかと言えば個々の問題があるとは思うが、
技術的には門外漢である立場としては、実現容易なものに取り組み、早く完成した製品を見せてほしい。
男はロマンを求め、女は実利を求めというが、ロマンより結果を見せる努力をして頂きたい。
薪ストーブも燃料がただであれば採算が合うところまで来た。そこで薪ストーブを導入する人が増えてくると思う。
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(オ) |
鶴野氏:
宮内氏がエンジン開発と糞尿燃焼を同時に取り組まねばならぬ現状を不本意とされるのは理解できるが、
SEの実用化には今やバイオマスの燃焼技術開発に重心が移っており、
エンジン開発よりもバイオマス燃焼技術の開発が重要ではないかと思っている。
Qnergyを用いた商品開発に取り組んで頂きたいとの気持ちが強い。
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(カ) |
サクション瓦斯機関製作所 竹内氏:
SEに長年取り組んでいる立場から言えば、未だSEの実用化が見えないとのご批判は理解できるが、
SE開発の当事者としては、速度は遅いが技術開発の正道を進んでいるつもりであり、
SE技術は確かな進展をしている。しかしそれが大衆の前に姿を出すまでには至っていないということで、
各地で継続しているエンジン研究の中から先ほどお話のガスエンジンのようなブレークスルーが出て、
SEも世に出ていくと思っている。それをお待ち頂きたい。
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(キ) |
鶴野氏:
竹内氏のご意見は良く理解できるが、SE研究の歴史を振り返ると、今後必要とされる外燃機関の開発に必要な課題と
必要技術は絞り込めるはずで、伝統的SEに固執しない開発姿勢が必要なのではないかと思う。
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〇多様なバイオマスの利用システムの構築が必要! |
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(ク) |
熊崎氏:
SEは何でも燃料にできるといわれるが、燃料を選ばなければうまくいかないのではないか。その点についての意見を聞きたい。
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(ケ) |
楠氏:
アイシン精機のSE開発に立ち会って何十年もSEの失敗実験を見てきた経験から言えば、
木質バイオマスを使う場合に限ってもトラブルが出る。粗悪な燃料の場合はなおさらである。
したがって燃料は何でもよいというわけではない。SE協会はこれまでの活動でいろいろな知見を持っているので、
相談して頂ければと思う。
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(コ) |
熊崎氏:
ガスエンジンは良質な燃料を必要とする。しかしバイオマスは良質なものだけではない。粗悪なバイオマスも多く、
それもまたエネルギーを持っているので活用することが必要なわけである。ドイツの例を述べると、
ガスエンジンとORCを組合せ、ORCで粗悪なバイオマスを使ってCHPを作動し、
その発生電力でペレットを生産してガスエンジンに供給する循環システムを作り上げている。
そこでSEについても種々の燃料をうまく活用するエンジンの組み合わせを考えるべきであると思う。
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以 上
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